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Scent Gem:香りのための器。

cadoの鈴木健氏によるデザイン。

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Horizonが開発したスマートディフューザー「Scent Gem」は、“香りをデータとして扱う”という新しい概念を体現している。

そのフォルムを手がけたのは、家電ブランド「cado」を率い、“空気をデザインする”という信念で知られるデザイナー、鈴木健氏。


Horizonの掲げる「香りのデジタル化」というビジョンにインスパイアされ、鈴木氏は外観から内部構造に至るまで、軽やかさや透明感、そして自然とのつながりを宿らせた。これは、目に見えないものを「デザイン」という手法で体験へと変換する物語である。


プロフィール


鈴木 健(Ken Suzuki) cado株式会社 副社長/クリエイティブディレクター aete株式会社 代表取締役

東芝にて冷蔵庫やテレビなどのデザインを手がけたのち、デザイン志向の家電ブランド「amadana」の立ち上げに参加。

2011年に「空気をデザインする」というコンセプトで知られるブランド「cado」を設立。 機能と美を融合させたプロダクトを次々と世に送り出し、人々の暮らしの中にある“目に見えない要素”との関わり方を再定義し続けている。



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「香りをデータ化する」挑戦に応える器とは


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鈴木健: 依頼をいただいたとき、 最初に考えたのは “香りがデータになるなら、 その器はどうある べきか” ということでした。 私はこれまで空気や水をテーマにしてきましたが、 香りはさらに曖昧で、 目に見えず、 形がない。 いわゆる家電とは一線を画す存在にしたいと考えま した。 また、 香りはファッションやインテリアと同じく 「自己表現の手段」 にもなるので単純に空間に調和する無機質な存在とも違うと思いました。 

水面に差し込む光のように、 静かに空間を満たす存在。 光と水。 

こんなテーマを実現したく取り組みました。 


素材と質感 ― トライタンの選択 

筐体に採用されたトライタンは、 アルコール拭き取りに耐える実用性を持つだけでなく、 ガラスのような透明感と高級感を備えている。 


鈴木健: 

「トライタンはただの樹脂ではなく、 ワイングラスやデキャンタにも用いられる高級素材 です。 光を透かすとガラスのように見える。 本体の肉厚を上手く変化させることで、透明感が変化し、より豊かな表情を演出します。 透明な器に光と香りが溶け合い、 自然に空間に馴染む。そういう “美しい素材感”を活かしたかった。」 


コンパクトで安定した円筒形状

Scent Gemのサイズは直径約22cm。テーブルやベッドサイドに置いても圧迫感がなく、 存在を主張しすぎないスケール感が採用されている。 


鈴木健: 

「高さを抑えることで重心に安定感を持たせました。 日常的に目に入り、手が届く場所に置かれるものだからこそ、“安心して隣に置ける大きさ”が大事です。そしてこの寸法は、空気の流れを作り出す上でも理想的でした。」 


内部構造と空気の流れ 

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下部に配置されたファンが空気を取り込み、 外周の通路を通して上部からふわりと吹き出 す構造になっている。上から見ると、まるで円の縁から香りがにじみ出すように見える。


鈴木健: 

「ScentGemは中央から勢いよく吹き出すのではなく、外周から自然に広がるようにしました。光を透かす透明な筐体の縁から、香りがにじむように漂い出る。まるで壁を伝って広がる風のように、空気と香りが混ざり合いながら空間に馴染んでいきます。


放射状スリット ― 香りの 「呼吸」 を表現する 

トップカバーのアルミプレートには、放射状に広がるスリットが刻まれている。

それは「ここから香りが生まれる」という直感的なサイン。高精度なCNC加工によって磨き上げられた表面は精緻で美しく、エッジには優しい面取りが施されています。そのため、指先が触れたときに感じるのは冷たさではなく、丁寧な手仕事のぬくもりです。


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蓋を開ける 「小さな儀式」 

蓋を外すと現れるのは、花のように並んだ12本のカートリッジ。 


鈴木健: 

「香りを選ぶ行為そのものを小さな儀式にしたいと考えました。 透明感のある器の中に、 12色の“香りのインク”が収まっている。 その光景を見せること自体が体験になるように設計しています。」


12本のカートリッジは“香りの伴盤”


鈴木健:

12という数字は象徴的です。時計の目盛り、 音楽の12音階、 1年の12か月。 香りを操作する行為が、 時間や音楽のリズムに重なるようにしたかった。 『3時方向はウッディ、 9時方向はシトラス』と、身体で覚えられる座標になるんです。」 

さらに、交換時の操作性にも工夫がある。 

「通常なら突起物のつまみを設けますが、そうすると全体が雑然としてしまう。ScentGemでは隣との“伱間”に指を差し込んで外す仕組みにしました。 余計な突起をなくし、見た目は透き通った円環のまま。それでいて交換は10秒以内で完了します。美しさと利便性を同時に満たすことがデザインだと思います。」


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光は 「透き通る言語」 




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Scent Gemは、 下部から柔らかい光を放つ。 


鈴木健: 

「光は単なる演出ではなく、 状態を知らせる言語です。 待機中は呼吸するようにゆっくり明滅し、 再生中は安定した光に。切り替えは短い鼓動のような点滅。視界の端に“透き通 る合図”を置くことで、 ユーザーは直感的に状態を理解できます。 強い光ではなく、 透明でやわらかい光にすること。 香りと光が一体となり、 自然に空間を包むことを意識しまし た。」 







所有する喜びを届けたい


鈴木健: 

「私にとってデザインとは“良いものを描く”ことではなく、“世に出して人に届く”ことで す。ScentGemは透明な器の中で光と香りが溶け合い、生活空間に自然に馴染む。 そういう存在にしたかった。日常に寄り添いながら、 所有すること自体に喜びを感じてもらえる道具になれば嬉しいですね。」 


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Horizon × 鈴木健 が描く未来

Horizonが挑む 「香りをデータとして扱う」 という新しい体験。それをインテリアの中に自 然に溶け込ませる役割を担うのが、ScentGemです。  透明に、透き通るように、光を抱き込み、自然とともにある。Horizonの技術と鈴木健氏のデザインが融合したScentGemは、香りの未来を切り拓く“器”として、新しい暮らしの空気を描いていきます。

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